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FEATURE

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2立ち飲み×一風堂

海外で気づかされた日本の文化を発信するということ

関口『一風堂スタンド』がオープンして実際の反響はどうですか?

島津 想像以上に楽しんでもらえています。日本酒を仕事終わりにサクッと飲むというのは、浜松町や五反田のようなビジネス街ではぴったりはまった気がします。

庄島 女性が一人でも入れるラーメン屋という『一風堂』の切り口と、こうして日本酒を立ち飲みで提供するスタイルはすごくリンクしてますよね。そこに参加できたのはありがたいなと感じています。

島津 人が集まる場所ってすごくいいですよね。お客様を見ていると、普段はラーメン屋に来ない人たちも、ここはちょっと違うねと言って来てくれたり、日本酒ってこんなに種類があるんだねとか、いろんな発見をしながら楽しんでもらっています。どこの国もそうですが、立ち飲みみたいな場所に集まる人たちにはすごく良いエネルギーがあるし、その目的が日本酒であったり、ラーメンであったりするのが自分としてもやっぱり嬉しくて。『一風堂スタンド』は、ラーメンという業種でひとつ間口を広げられたかなと感じてます。

庄島 日本酒を一杯飲んで、つまみを食べてラーメンで〆て帰るって、日常の中で日本酒をたしなむというか、日本酒を“使いこなせてる”みたいなところがいいですね。日本酒を売る側から見ると『一風堂スタンド』のような滞在時間の短いお店で、お客様に日本酒が選ばれるというのはすごく画期的で、一風堂さんに新たな日本酒の居場所を作っていただいたと感じています。

島津 まさにそれは、うちとしても目指しているところですね。

関口『一風堂スタンド』のアイデアは、島津さんがNYでやってきたことを「立ち飲み」という新しい業態で持ち帰ったわけですよね。

島津 そうですね、『IPPUDO NY』はダイニングスタイルのレストランだったので、ウェイティングバーがあったんです。待ち時間で飲んで、スナックを食べて、いい感じになったときに、中でディナーを楽しむ。NYの人たちは、待ち時間の全てをエンジョイしていたので、そういう文化を日本でもできないかと考えてみたら、なんだ「日本には角打ちがあるやん」って気が付いて(笑)。

中筋僕が手がけているシンガポールの『BAR IPPUDO』っていうのは、お店の目の前に一風堂があるものの、あくまで日本酒バーなんですね。一風堂スタンドは、それがもっと昇華したバージョンというか、お互いの良いとこ取りした業態なんじゃないかと思っています。個人的にも、様々な国でこのような業態にチャレンジすることで、「RAMEN×SAKE」の可能性を追求していきたいですね。

3住吉酒販×一風堂

日本酒を使いこなすテクニックを持ちたい

関口庄島さんは、20代までは東京でバンドマンをやっていたそうですが、何歳のときに住吉酒販さんに入ったんでしょうか?

庄島 酒屋に戻ったのは28歳だから7年前ですか。それまでは東京でバンドマンをやりつつ魚屋で働いてたんです。毎日小田原まで仕入れに行って日本料理やフランス料理の有名店に卸しているような魚屋でした。そこで働く先輩を見ていたら、勝負しているというか、なんか格好いいんですね。それで自分も何かで勝負したいなと思った。

で、ある時、歌うより500倍ぐらい酒を飲ますほうが得意だということに気がついて(笑)。周りの貧乏ミュージシャンや友人たちは、ビールや酎ハイばかり飲んでたのに、いつの間にか「庄島君と飲むときは燗酒やね」と、周りも日本酒にハマり…。だから、とくに「帰ってこい」と言われたわけではなくて、単純にやりたいことをやってきた延長線に、たまたま帰るという選択肢があったんですね。

関口住吉酒販さんのキャッチコピー「酒に笑う人生」はいい言葉ですよね。

庄島 これね、東京で働いてたときに急に父親から「今度、ちょっと日本酒の会をするから、タイトル考えてくれ」って言われて。「それ、いつまで?」って聞いたら「今日の夕方まで」と言われたので数時間で考えたんですよ(笑)。

島津 「酒に笑う人生」。良い言葉だなぁ。すごく飲食の魅力・愉しさが一言に集約されている気がします。

庄島 ありがとうございます。

関口住吉酒販さんは、ホームページ一つ見ても、様々な企画が盛り込まれていますよね。一般的な酒屋さんのイメージを覆している面白さを感じるんですが、そういうアイデアの源泉はどこからくるのでしょう?

庄島 人と同じことをしたくないというのは子供の頃からあったと思いますが、あとは、興味があることと無いことのエネルギーの持ち方が全然違うからですかね(笑)。例えば数字に対しての執着心は困ったことに全くないけど、自分たちよりも楽しんでる酒屋があったらものすごく悔しい!それはもう、絶対負けたくないというか。

島津 すごくよく分かります(笑)。