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FEATURE

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人がモノを考えること。
そのすべてがデザインに繋がっている

小梶この仕事をはじめる前に、ずっとデザインって何だろうと考えてたんです。海外に行くと日本のことがよくわかったりしますよね。その要領で「DESIGN」の対義語を調べてみようと。すると、すごく意外な言葉が出てきたのですが、何だと思われますか?

関口デザインって、人が創るモノのイメージがあるので、『ネイチャー(自然)』とかですか?

小梶なるほど、それも一理あるかもしれませんね。正解は『ACCIDENT(アクシデント)』です。言葉としてはかなり意外だと思いませんか? 「予期してないこと、突発的なこと」。そこに人の考えや計画が入っていないという意味合いです。それに対し『アクシデント』の対義語が『デザイン』だとすると、ものすごくそれは広い意味になるなと思ったんです。

デザインとは、絵を描くとかヴィジュアルを作るとかそういう特殊技能的な作業だけではなくて、人間が頭を使って、世の中にある物事をよくするために計画したり設計したり戦略を立てたり、とにかく頭を使って故意に意図的に考えるという行為の総称です。“考える”という行為ができるのは人間だけですよね。そうなると全ての人間がデザイナーなんだなぁという結論に至ったんです。

関口それは面白い話ですね。

小梶特に日本では、デザイナーがアーティスティックな職業だとか、特殊な職種と思われ過ぎている節があるのですが、先ほどお伝えしたようにデザインとアートは違うものだし、日々「考える」という行為はご存知のとおり人間みんなが実践しています。だから、クライアントや業種の異なるメンバーでのプロジェクトミーティングの際でも「デザインは皆が普段からやっている”考える”という行為なので皆でデザインも考えましょう」というスタンスでミーティングをスタートさせるようにしています。

僕らデザイナーがやらなくてはいけないのは、そのプロジェクトを良いものにするためにみんなでディスカッションし、いろんな人の意見やアイデアを真剣に聞くことです。それでも「ここは専門的な部分なので小梶さんにお願いします」と依頼されることが多いんですが、その部分ですら皆で考えた方が良いものが生まれると本音でお伝えしています。

デザイナーは広告を作るとか、ウェブサイトを作るとか、アウトプットのみをデザインするところから抜け出さないといけないと思うんです。これはデザイナー自身がそういう仕事だと思いこんでいるところもあるので、もう一度“デザインってそもそも何なのか”ということをみんなで考え知ることが大切です。デザイン作業の基本は客観視による整理と組み立てです。クライアントが抱えている問題点をヒアリングし、客観視した上で必要な要素と不必要なものの優先順位をつけて組み立てなおし答えを導き出す。いわゆる整理整頓、散らかった部屋の掃除をする行為と同じ作業です。

 私はクライアントが言いたいことは何だろうというのをまず探って、それを整理することがデザインの基本姿勢だと思っています。そのためにできるだけ物事をシンプルに考えたいので、買う人やお店で売る人、デザインを目にする人など、いろんな方の立場になってモノを見るようにしていますね。

関口デザインは整理整頓だと言われてみると、急に身近なものに思えてきますね。デザインと聞くと専門外のような気がして、ついお任せしますと言いがちだけど、デザインに対して僕らにも何かやれることはあるんでしょうか?

小梶自宅の掃除をしましょう(笑)。僕は散らかっている状態とキレイになってる状態は、見た目の問題ではなく、自分の頭の中が整理されているかどうかと一緒だと思っています。様々な情報がスムーズに入るように常に頭の中をクリーンな状態にしておきたいと常に思っています。ワークデスクやパソコンのデスクトップ画面やデータ、フォルダ整理は、それを顕著に表すものだと思っているので、特にオフィスやワーキングエリアの整理整頓にはすごくこだわっています。

整理整頓をクセづけるとデザインも自然とできてきますよ。デザインの本質は、生活しやすい環境を追求しクリエイトすることなので、決してかっこいい絵を描いたり、かっこいい器を作ったりすることだけではないのでぜひ気軽にトライしてみて下さい。

ちょっと他とは違う、
力の源らしい個性をもっと表現するべき

関口力の源という会社については、どんなイメージをもっていますか?

小梶力の源は本当に面白い会社です。今の時代はドライにそつなくこなす若者が増えているけれど、そんな中にあって力の源の社員は皆、目が生きているんです。出会う社員のみなさんも本当に一人ひとり個性が違っていて、同じタイプの人がいない。本当に同じ会社の人たちなのかなと(笑)。でもひとつにまとまっているというか、共鳴し合っているように思えます。

僕たちは異なる業種の様々な会社とお付き合いをさせていただいてますが、これだけいろんな人がいて、でもまとまっている会社というのは本当に稀です。それだけに面白いことができる力をまだまだ秘めていると思います。お仕事をご一緒させていただいて毎回刺激的だし、想像もしないプランを相談されたりもするので、そのパワフルな感覚をお店に来た人にも感じていただければ理想的です。先ほどもお伝えしましたが、ラーメン業界だけでなく、飲食業界にある既成概念を間違いなく覆してくれる会社だと思いますね。

そんな力の源の個性と言うか、オンリーワンである素晴らしさを、もっともっと伝えるためのお手伝いをしていきたいと思っています。

撮影=安澤英輝、文=岡本ジュン
※所属、役職はインタビュー当時のものです。